有効求人倍率とは
有効求人倍率とは、全国のハローワークの求職者数と求人数との割合を示す言葉です。ハローワークに限定せずに求職者数と求人数の割合を示すものを単に求人倍率といいます。どちらも算出は、求人数を求職者数で割ってします。求人倍率が10÷5で2.0になるのは、求人10件に対して求職者が5人の場合です。
有効求人倍率の数字は、求職者1人に対して求人がある量を示しているのです。求人の求職に対する過不足を表しており、職探しは数字が小さくなると難しいということが分かるでしょう。
ハローワークの求人や求職の申込みに有効求人倍率に2ヶ月の有効期限があることが、「有効」という言葉を使っている理由です。各月の新規の求人や求職者数と区別して、期限内の求人や求職を対象としているのが特徴です。このほかの求人倍率としては、新規求人数と新規求職者数から算出する新規求人倍率や、先月から繰り越した求人数に新たに発生した求人数を加えた月間有効求人倍率などが、有効求人倍率以外にも存在しています。企業は期限の切れた求人を何回か出し直すことがあります。
有効求人倍率に比べて、新規求人倍率は高めになるという特徴があります。ハローワークを通じた求人や求職なので、有効求人倍率は新卒などハローワークに登録しない人は入っていません。有効求人倍率数に含まれないのは、求人情報誌に掲載されている内容などです。
有効求人倍率と景況感
有効求人倍率の確認は、厚生労働省が発表する数字なので、厚生労働省ホームページなどでもできるといいます。労働市場の代表的な需要指標として有効求人倍率は、失業率と並んで用いられているそうです。
求職者1人に対して少なくとも1つ以上の雇傭の口が、倍率が1より大きければ存在するといえるでしょう。逆に有効求人倍率が1より小さければ、求職者に対して求人が不足している就職難であることを示しています。
失業率は景気に対して遅れぎみに数字に表れることに対して、有効求人倍率は景気と一致する指標と考えられています。有効求人倍率は、経済動静の見極めに効果があるものとして注目されています。経済分析誌や毎日新聞では、有効求人倍率が国内の景気判断をするために広く使用されているようです。
アメリカでは投資活動に雇用統計が重要な経済指標として使われています。経済指標として日本では、有効求人倍率を使っているといいます。バブル経済期の頃は1.4を越える月もありましたが、平成11年から過去最低を更新し続けています。0.5を割り込む月もあるほど、近年では有効求人倍率は落ち込んでいるようです。
近年は有効求人倍率の低下に対応するように失業率も上がり、厳しい雇用環境の現状が数字から見えてくるといえるでしょう。
職業別の有効求人倍率
有効求人倍率が最低値を更新し続けているここ数年、就職難が盛んに叫ばれています。全ての人が職を見つけることができずにいるように思えますが、事実なのでしょうか。
ここには数字のトリックが実は潜んでいるのです。有効求人倍率を職業別に見ると、すべての職種で1を割り込んでいるのではないことが理解できます。どのような条件で仕事を探すかによって、全く仕事の難しさは異なるのが事実です。全体が1を切っている時でも、常に高い数字を示している職業があることが、職業別に有効求人倍率を見た場合にわかるといいます。特に保安職は高く、IT関係の技術職、介護などの福祉関係の仕事などは高い数字を有効求人倍率において保っているのです。
その一方で、全体平均以上に低い数字となっているのが、事務職や管理職の有効求人倍率だそうです。希望する職種によって、実質的な倍率には違いがあるということです。地方によって傾向が違うことがあるのが有効求人倍率ですが、大概の職業による数字の差の傾向は同じようなものだそうです。多くの人が事務職を希望しているのですが事務職の求人は少なく、介護や保安関係ではそれとはまったく正反対の状態です。
就職の難しさを一層助長しているのは、有効求人倍率から読み取れる、労働市場における需要と供給のミスマッチが原因とも考えられます。